介護保険とは、介護が必要になった高齢者を社会全体で支えるための制度です。介護保険に加入している人は、介護の費用の一部を給付してもらえます。しかし、介護保険の仕組みやサービスの種類は、なかなか複雑で分かりにくいものです。この記事では、介護保険の基本的な知識をわかりやすく解説します
介護保険の仕組み
介護保険は、全国の市区町村が保険者となって運営しています。介護保険に加入するのは、40歳以上の住民です。40歳から64歳までの人は、医療保険と一緒に保険料を支払います。65歳以上の人は、年金から保険料が天引きされます。保険料の金額は、所得や自治体によって異なります。
介護保険の給付を受けるには、要介護認定という審査を受ける必要があります。要介護認定とは、介護の必要度を判定するもので、要介護1~5の5段階と、要支援1~2の2段階に分かれます。要介護認定を受けるには、市区町村の担当窓口に申請します。申請後、訪問調査や書類審査が行われ、約1か月で結果が通知されます。
要介護認定を受けた人は、介護保険でさまざまなサービスを受けることができます。サービスを受けるには、ケアプランという介護計画を作る必要があります。ケアプランは、ケアマネージャーという専門家が作成します。ケアマネージャーは、利用者の状態や希望に合わせて、最適なサービスを選んでくれます。ケアプランが決まったら、サービス提供事業所に契約をします。サービスを受ける際には、自己負担分という一部の費用を支払う必要があります。自己負担分は、サービスの種類や利用時間、所得によって異なります。
介護保険で受けられるサービスの種類
介護保険で受けられるサービスは、大きく分けて以下の4つのカテゴリーに分類されます。
- 居宅介護支援
- 居宅サービス
- 施設サービス
- 福祉用具・住宅改修
居宅介護支援
居宅介護支援とは、ケアプランの作成や家族の相談対応など、介護の全体的な管理・調整を行うサービスです。ケアマネージャーが担当します。ケアマネージャーは、利用者の状態やニーズに応じて、必要なサービスを選んだり、サービス提供事業所と連携したりします。また、利用者や家族の悩みや不安にも寄り添ってくれます。
居宅サービス
居宅サービスとは、自宅に住む人が日常生活の支援やリハビリなどを受けるサービスです。訪問型サービスと通所型サービスに分かれます。
訪問型サービス
- 訪問介護:生活援助や身体介護を行うサービスです。掃除や洗濯、買い物や調理などの生活援助や、入浴や排せつのお世話などの身体介護を行います。
- 訪問看護:医師の指示のもと、看護師が健康チェックや療養上の世話などを行うサービスです。
- 訪問入浴介護:自宅に浴槽を持ち込み、入浴介助を行うサービスです。
- 訪問リハビリテーション:リハビリの専門家に訪問してもらい、自宅でリハビリを行うサービスです。
- 居宅療養管理指導:医師、歯科医師、薬剤師、栄養士などに訪問してもらい、療養上の管理・指導を行うサービスです。
通所型サービス
- デイサービス:食事や入浴などの支援や、心身の機能を維持・向上するためのリハビリやレクなどを日帰りで行うサービスです。
- デイケア:施設や病院などで、日常生活の自立のために理学療法士、作業療法士などがリハビリを行うサービスです。
- 認知症対応型通所介護:認知症と診断された高齢者が利用するデイサービスです。
施設サービス
施設サービスとは、施設に入居して生活するサービスです。以下の4つの種類があります。
- 特別養護老人ホーム(特養):介護が必要な高齢者が入居できる施設です。食事や入浴、排せつなどの介護や、医療的なケアを受けることができます。
- 介護老人保健施設(老健):病院から退院したが、自宅での生活が困難な高齢者が入居できる施設です。リハビリや医療的なケアを受けることができます。
- 介護療養型医療施設(療養病床):医療的なケアが必要な高齢者が入居できる施設です。医師や看護師などの医療スタッフが常駐しています。
- 介護医療院:2018年4月から新たに創設された介護保険施設です。長期療養が必要な要介護者に対して、医療と介護を一体的に提供する施設です。介護療養型医療施設とは異なり、生活施設としての機能も持ちます。
福祉用具・住宅改修
福祉用具・住宅改修とは、自宅での生活を快適にするために必要な用具や設備の貸与や改修を行うサービスです。以下の2つの種類があります。
- 福祉用具の貸与:車いすや歩行器などの移動用具、ベッドやマットレスなどの寝具、入浴用具や排泄用具などの生活用具などを借りることができます。福祉用具の貸与は、市区町村の担当窓口に申請します。申請後、必要な用具を選んで、貸与事業所と契約をします。用具の貸与期間は、原則として6か月です。用具を借りる際には、自己負担分という一部の費用を支払う必要があります。自己負担分は、用具の種類や価格によって異なります。
- 住宅改修の助成:手すりやスロープなどの設置や、段差の解消やドアの拡幅などの改修を行うことができます。住宅改修の助成は、市区町村の担当窓口に申請します。申請後、改修の内容や費用を見積もって、改修事業所と契約をします。改修の助成額は、改修費用の9割以内で、上限は10万円です。改修を行う際には、自己負担分という一部の費用を支払う必要があります。自己負担分は、改修費用の1割以上で、下限は1万円です。
まとめ
介護保険とは、介護が必要になった高齢者を社会全体で支えるための制度です。介護保険に加入している人は、介護の費用の一部を給付してもらえます。介護保険で受けられるサービスは、居宅介護支援、居宅サービス、施設サービス、福祉用具・住宅改修の4つのカテゴリーに分かれます。介護保険の仕組みやサービスの種類を理解することで、自分や家族の介護に備えることができます。
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